帰れない山
イタリア・ベルギー・フランス映画
監督 フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、
シャルロッテ・ファンデルメールシュ
出演 ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ポルギ
(あらすじ)都会育ちの少年ピエトロがバカンスで行った山の村で同じ年の少年ブルーノと出会いひと夏を過ごし別れる。
その後都会に戻り、父に反抗し家を出たピエトロだが、父の死をきっかけに再び交流が始まる。
山の民として生きることを決めたブルーノに対し、自分の居場所を見つけられず葛藤するピエトロ。やがて・・・
「父の秘めた思いと遺志、親友との心地よい沈黙と魂の交流 そして自分の人生と居場所」という煽り文句につられて、気持ちのいい映画だろうなと思ってい見に行きました。
日本語のタイトルの「帰れない」という部分でちょっと気にはなっていたのです。
でも、アルプスの景色に癒されればそれでも十分と思って観に行きました。
映画が始まってしばらくすると気が付きました。
これ、純文学じゃん。
しかも私小説。
ハッピーエンドはないな。
「気持ちのいい」はあきらめです。
たまには考えさせられる映画もいい。
煽り文句の「自分の人生と居場所」がメインなんだろうな。
親友のブルーノは、主人公のように居場所を探すのでなく、山の民であることにこだわる。
対称的な二人。
アイデンティティの問題は人それぞれ。
主人公の行動は単なるモラトリアムにも思えます。
それも若いうちならいい。
魂の彷徨っていうのは必要なことかもしれません。
でも、いい年してずっと同じことやっていられると、うっとおしい。
それをどう昇華するか。
この映画の原作者は書くことによって昇華したんでしょうね。
それを映像として、見ているほうはどうしたらいいのでしょう。
追体験をしても、どうも共感できないので困りました。
何となく考えさせるという形で終わるのは、純文学系の作品に多いです。
そういうのちょっとしんどいです。