野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

映画「メグレと若い女の死」を観た感想です。

メグレと若い女の死

2022年 フランス
原作 ジョルジュ・シムノン
監督 パトリス・ルコント
出演 ジェラール・ドパルデュー

あらすじ
シルクのドレスを着た若い女が死んだ。わずかな手掛かりをもとに、犯人を捜すこととなったメグレは・・・

シムノンのミステリの映画化。

 

この映画、2022年の新作と知って驚きました。
ずっと前に作られた作品の再上映と思ったのです。
映像が、それくらいクラシカル。
フィルムノワールの映画の頃のようなトーンです。
まだ第二次世界大戦の空気が残っているような雰囲気です。
日本でいうと前の東京オリンピック以前くらいの時代感覚
時代設定がそうだから当然そう作っているのでしょうが、その空気感の作り方がいい感じです。

 

見ていて不思議だったのは、メグレはこの事件に何でこんなに入れ込むのかということ。
警官としてより、より個人としてのめり込んでいるような印象が付きまといました。
これはメグレの捜査とも思えない動き方に「え?」と感じたところが大きいでしょうね。
この不自然さが逆に、殺された女の人生にたいするメグレの想いという通奏低音となって、映画の空気を支配しているように感じます。
フランス映画っぽいと感じました。

 

この原作は読んでいないと思います。
エピソードの現れ方が、シムノン的というより、ルコント的。
監督のルコントが脚本も書いているので、ルコントの表現方法じゃないかなという気がします。
原作を読んで確認したいです。



いかにもフランス映画らしいと思うような抑えた映像ですが、一つ一つの背景がしっくりします。x、こういうのもたまにはいいなと感じながら観ていました。
この監督の持ち味ですね。



メグレをやったドパルデューは外見的には、イメージ通りのメグレだと感じます。
ちょっと情感出し過ぎでいつもしかめ面というのは重かった。
ベティを家に連れ帰って、朝方メグレ婦人とベティの会話を聞いて笑うシーンみたいなところがもう少しあったらいいのになと思いました。

 

フランス映画の秀作は、人を内相的にえがこうとするものが多いような印象があります。
キーパーソンとなる4人の女性の4人4様の人生とメグレのかかわりの中から垣間見られるという感じですかね。
私は基本的にエンターテイメント好きですが、そんな映画もたまに見たくなります。