探偵マーロウ
2022、アイルランド、スペイン、フランス映画
原作:ベンジャミン・ブラック「黒い瞳のブロンド」
監督:ニール・ジョーダン
出演:リーアム・ニールソン、ダイアン・クルーガー、ジェシカ・ラング
あらすじ;ブロンド美人から、疾走した愛人を探してほしいという依頼を受けたマーロウが、調査を進めるにつれ、謎が深まっていき・・・・・。
アメリカ映画だと思ったけれど、アイルランド、スペイン、フランス映画なんだって。
マーロウなのに、原作がチャンドラーじゃなくてベンジャミン・ブラック。
「長いお別れ」の続編として書かれ、本家?の公認を受けているとのこと。
へー!なのであります。
この映画、私は好きだな。
一つひとつのエピソードがスムーズにつながれて物語が作られていく感じです。
心理やなにやら下手に深堀しないのがいい。
バイオレンスもあるのだけれどね。
というより、よく考えたら殴り合いとか、平気で人をバンバン殺したりとか平気でしています。
でも、そんなに気になりません。
暴力シーンを詳しく見せず実態を薄くし、観る方が暴力で眉を顰めないようストーリーが淡々と進んでいきます。
刺激より物語が前面に出ていると感じます。
一つひとつのシーンはいろいろな情報が詰め込まれているけれど、ストーリーが一方向にきちんと流れていて、シーンの切り取りとつなぎがうまいので、観やすいし、わかりやすかったです。
観る前、「リーアム・ニールソンのマーロウ、重くないか?」と思っていたけれど、意外とハマっていました。
とがったマーロウじゃなく、年齢を経て丸くなったマーロウ。
警察官との関係がよかったな。
普通敵対して、警察からは邪魔にされ、警察はアホなステレオタイプが出てくることが多いんだけれど、違った。
警察官がマーロウを心配している。
こういうとこで余分なことすると、話に集中できなくなるのだけれど、良い感じだね。
チャンドラーのご本家ではないけれど、マーロウである以上、やさしさという通奏低音が物語の中に流れていなくちゃって思うのです。
なんたって「強くなくては生きていけない、優しくなくては生きていく資格がない」の世界ですから。
ストーリーが殺伐としているから余計にね。
登場人物もいかにもマーロウ物らしく、思わせぶりだし、それがはまっている。
ストーリー自体面白かったし、観せ方もうまくて、面白かったな。
満足しました。