野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

映画「英雄の証明」を観てきました

英雄の証明
2021年 イラン フランス
監督 アスガー・ファルハディ
主演 アミル・ジャディディ

美談の英雄に祭り上げられた男
彼は本物の英雄か詐欺師か

(あらすじ)
借金の罪で投獄された男が、投獄の休暇中(?)に拾った金貨を落とし主に返すという善行にがメディアに報じられる事により時の人となる。ところが、ある噂が広まることにより状況が一変し、翻弄される。


チラシによると、幼い息子も巻き込んだ大事件へと発展していく。予測不可能な極上のヒューマンサスペンスが誕生した
とありますが、発端はともかく、その後の流れはが予測の範囲内だろうと私は思いました。


面白くないわけではないのです。
借金が返済できないので、債権者と示談成立しなかったら投獄とか、日本との違いなど面白いのです。
異なる習俗や、庶民の暮らしやバザールの様子はこういう感じなのかと興味はつきません。
家族のあり方など面白いです。やさしいなぁ。


映画の構成とか映像とか、さすがにカンヌでグランプリをとるだけはあります。


でも、私は「ん?」と思いました。
賞賛と疑惑が交錯していくというテーマのレベル以前でひっかかり、そちらに気を取られました。

出来事の発端のストーリーの作り方に違和感があるのです。

この主人公、脇が甘すぎる…

大金なのに、警察や地域の世話人に届けず、いきなり張り紙するか?
連絡してきた人に、簡単な質問だけで渡しちゃう?
しかも、渡したことを証明する方法なくわたす?
相手の連絡先もきかない?
その後も突っ込み所満載の展開です。
そちらが気になり、監督が言いたかったらしいテーマなどそっちのけになりました。
荒唐無稽な話ならこんなことは思いませんが、社会派映画らしいので引っ掛かったのだとは思います。


映画の中盤からは、私的には「こうなるよな」という展開です。
そのあたりになると、違和感でなく「面倒に巻き込まれちゃったね。自業自得だけどさ」の世界です。
これは、私の性格が悪いからじゃなく、こう考える人は結構いるんじゃないかなと思いました。


それでも、最期の主人公は、何となくいい感じでした。戻った刑務所で大丈夫かなという感じはしましたが。
このあたりの終わり方もちょっとね。
いい感じの映画で終わらせたいという意志は見えたので、最後までちゃんとしろよという感じでした。


結局、私はこの脚本の起承転結の起の部分に引っ掛かって、映画に乗り切れず「へ~」で終わりました。