野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

伊坂幸太郎「ガソリン生活」を読んでみた。感想文です。

MAZUDAは最近車種はナンバーでなずけているようです。
MAZUDA2だのMAZUDACXー3だの。
MAZUDAらしくて恰好いいと思いますが、ちょっと不満です。
だって、
「やあ、デミオ」って呼びかけられないじゃないですか。

 

 

伊坂幸太郎「ガソリン生活」のメインキャスターはデミオです。
車が自我をもっているというお話は、大昔、子供の頃アメリカのテレビ番組にありました。
その車は、持ち主と会話していたけれど、このデミオは会話はできません。
しかし、自我はしっかりあるし、車同士の交流もあります。
生まれて間もない車になぜこんな大人な自我があるのか不思議なんですが。



お話は、車のオーナーである望月家が巻き込まれたドタバタのアレコレがデミオの視点で語られます。


車同士の交友が楽しいお話です。


ジャンルとしては、ファンタジーにしてサスペンス。
ファンタジーやSFにもサスペンス小説であるものは多いです。


伊坂幸太郎は面白いなと思います。
普通、ファンタジーもSFも物語の舞台である世界をどのように作るかが、作者の腕の見せ所です。
でも、伊坂幸太郎は 舞台に今私たちがいる、普通であろう世界を持ってきます。
そこに現実的でない語り手をもってきて、不思議ではないけれど、決して日常的でないような出来事がわきおこる。
伊坂幸太郎のそんな作品群が好きです。「死神の精度」とか。
「ガソリン生活」においては出来事というより事件です。
日常の世界なんだけれど、当たり前でない世界が展開します。

 

ストーリーの構成も、次々問題がおこり、ハラハラさせて「おもしろいなぁ」と思います。
しかし、それ以上に語り口が魅力的だと感じるのです。

 

ハードな展開が続く本文ですが、妙に脱力感もあって、最後まで読み切ってしまいました。
エピローグが、ほのぼのして心地いいです。
この辺りも心にくいなぁ。