野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

「ひどい民話を語る会」を読んでみた。

タイトル ひどい民話を語る会
著者   京極夏彦 多田克己 村上健司 黒史郎
出版   角川書店 2022年

 

著者たちが「ひどい民話」と感じた民話について語り合っています。
もともとは「怪と幽」主催のイベントで語られたものを再構成したもののようです。
三部だけ「怪と幽」に掲載された原稿を加筆修正したものです。

そもそもひどい民話って何でしょう。
お話は、話し手が、聞き手が楽しめるように面白く話を盛ります。
面白可笑しく変える際の「こりりゃあ、ひどいわ」という盛り方をしてしまったような話が、著者たちのいう「ひどい民話」ということになるようです。

第一部は「糞・屁」型、第二部は「理不尽」型、第三部は民話についてと民話との出会いについての対談で構成されています。
挿入されるコラムは民話について教えてくれます。

語られる話の出典もきちんと明示されていて、良心的です。
本の中で語られるのは、民話そのものでなくて、民話の説明です。
読んでいて、「ひどい話だな~(^^;)」と思うのだけれど、


さまざまな時代、さまざまな局面で、さまざまな理由から、ひどい話は表舞台からパージされ続けてきたんです・・・・この、囲炉裏端の過剰サービスをなかったことにするのはもったいないことではありませんか・・・でも、それもまた民衆の声ではあるんです。いや、民衆と関係なくっても、面白いんです・・・そんなどうでもいいものが後世に伝えられるなんて、素晴らしいことではありませんか。(p172-173)

「そうだね~」と思ってしまいました。
民話とはどういうものか、民話の本質とはどういう物かということも、著者たちの言葉で語られ、私にとっては納得がいくものでした。

趣味の一つとして、昔話の再話をしているので、民話や昔話、伝説は多少は学習しましたが、基本的にモヤモヤするところがあったのです。
類話に関連してです。
それが、「盛か~」と思ったらスッキリしました。
そんな簡単すぎることは、まじめな本では書いてないからね。