監督 ザイダ・バリルート
主演 アルマ・ボウスティ
チラシには
「トーベ・ヤンソンの半生と、知られざるムーミン誕生の舞台裏を描く情熱の物語」
と、ありました。
トーベ・ヤンソン。
ムーミンの作者ですね。
ムーミン誕生の舞台裏なんて、ちょっとみたくなりまして、見に行きました。
本国フィンランドでは大ヒットしたようです。
でも、私はつい思ってしまいました。
身も蓋もないですが、この話、私には次のようなものに思えました。
一人の芸術家になりたかった、バイセクシュアルの女性が愛する女性への執着をたちきり、自由になる。
主役がトーベ・ヤンソンでなくても成り立つじゃないかと思いました。
一人の女の苦悩と自由の獲得という話なら、いいです。
トーベ・ヤンソンの半生を忠実にえがいたら、こうなったということもできましょう。
でも、せっかくトーベ・ヤンセンという主人公を据えたのです。
ムーミンの作者はムーミンに対しどのような思いを持っていたのでしょう。
この映画の中で、「なぜこの物語を書いたのか」というようなことを聞かれた時、「芸術家として失敗したから」というような答えがありましたし、「自分がやりたい本来の作画の気分転換に書いた」というようなセリフもありましたが、それでムーミンが生まれたのですか?
ムーミンの物語と、主人公のつながりとか、もう少し丁寧に描いてほしかった。
ただの女性作家ではなく、ムーミンを生むために生まれた方じゃないかと思っているので。
以前、ピーターラビットの生みの親、ビアトリス・ポターの半生をえがいた「ミス ポター」という映画を観ました。
「トーベ」ほど内面の複雑さはないけれど、この映画はビアトリス・ポターが主人公でなければいけない映画でした。
ピーターラビットとポターの関係がよくわかりましたから。
気持ちよくみられました。
「トーベ」は、私にとっては肩透かしでした。
チラシ表のポスター写真が素敵で、裏の解説もテンション上げる感じでした。
見る前に、すごく期待してしまったのです。