野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

読んでみた。『懐かしいお菓子』武井武雄

タイトル:懐かしいお菓子 武井武雄の「日本郷土菓子図譜」を味わう

作者  :伴田良輔、今村規子、山岸吉郎、河西見佳

出版社 :新潮社 とんぼの本

 

この本は「読んだ」という言葉が正しいのかどうかわかりません。
「観た」の方が適切化もしれません。

 

昭和の初めの方で活躍した童画家に武井武雄という方がいらっしゃいます。
その方が、私家版として、日本郷土菓子図譜」という本を作りました。
手書きの世界にたった一冊しかない本です。
「懐かしいお菓子」は、その本の内容を解説付きで新たに構成したものです。

今の世の中、ネットの中でも、各地域のお菓子や郷土料理をアップしている方がいらっしゃいます。
同じようなことを、私家版の本という形でした方がいらしたのです。
昭和の初めですから、ネットで調べてなんていうわけにはいきません。
お取り寄せもありません。
旅行だって、今のように気楽なものではありません。
郷土菓子の調査もいまよりずっと大変です。
武井さんは、自分が行ったところの菓子を買ったり、各地の知人に、郷土菓子を送ってくれるように依頼して、お菓子のデータを集めて、スケッチして3冊の本を作りました。
昭和の11年から33年までのデータです。

 

様々なお菓子のスケッチが名前、店名、コメント文と送り主の名前とともに目に飛び込んできます。

 

169店のうち99店はまだ残っていますが、消えていったお菓子もあります。
「このお菓子知っている」「こんなお菓子があったのか」などワクワクしながら読み進みました。
お菓子情報も楽しいのですが、スケッチがまた素敵なのです。
水彩の淡い色調が、目にも心にも心地がいいのです。
味があるといいますか。
眺めているだけで楽しい作品です。

 

音楽を聴きながら、こういう本を眺めている時間って、豊かな感じがします。