野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

寅さんがやってくる 私の「男はつらいよ」の楽しみ方

ツレが「これ行かない」といってチラシを差し出してきました。
見ると、山田洋二監督のトークショーのお知らせです。
当地方の映画館ではここしばらく「男はつらいよ」の寅さんシリーズ、全50作を上映していました。
その終わりの記念に、山田洋二監督のトークショーが企画されたようです。

「行かない」と答えました。

男はつらいよ」のシリーズは嫌いでした。
親につれられて映画館で見たり、人気があるのでテレビで見たりすることはありました。
見るたびに、嫌な映画だなと思っていました。

 

なんで、「ホロリとする」とか「人情を感じる」とかいう評価がでるのかわかりませんでした。

だって、本当に嫌な奴じゃありませんか、車寅次郎。
身勝手で、はた迷惑。
外面はいいけれど、家族のことは考えない。
すぐ暴れだす。

許す団子屋の面々も気持ちが悪い。
下町の助け合いの人情が良いという人もいましたが、納得がいきません。
助け合いっていうのは、一方通行の物じゃないと思うので。

寅さんの天真爛漫さ、自由さが良いという意見もありましたが、人に迷惑をかけて何が天真爛漫だと思っていました。

ところが、ある時家で「男はつらいよ」を見ることがありました。
その時、寅次郎が例によって茶の間で、暴れだしたのを見て
「なんでそんなことをいうのだ」
「追い出せおいちゃん」
「さくら、かばうな」
など画面の中のおいちゃんと一緒に叫んでみたら、なんか楽しい。
寅さんに対し自分の感じていることを一緒に口に出していると、スッキリしました。
映画も面白くみられました。

自分が映画に入り込んでいたので、寅次郎の身勝手が嫌だったのですね。
そこで自分も参加したらスッキリしたのです。
観客を引き込むことができる上手いつくりの映画なんだろうなと思います。

それ以降、義母用に用意してあるビデオなどでたまに「男はつらいよ」を見るようになりました。
さくらが「お兄ちゃん、かわいそう」などというと「かわいそうなのは、あんただ」などと声に出して参加しながら観ています。
親戚のおばちゃんの心境です。
そうすると楽しい。

こんな鑑賞姿勢ですから、映画館で観ても面白くないのです。
言いたいことがたまってしまいますから。
だから、トークショーは行きません。

 

実際、気持ち悪さから解放されて「男はつらいよ」を見てみると、絶妙なんじゃないかと思います。
寅次郎は、はた迷惑な男だけれど、悪ではない。
愛嬌がある。
ふらりと帰ってきて、迷惑をかけるけれど、耐えがたいほどのものではなく、いつもの日常に刺激を与える。
そして、必ず去っていき(ここが大事)、日常に刺激があってもいいなと思うくらいの塩梅でまたふらりと帰ってくる。
だから周りも寛容でいられるのではないかと思います。