野良の覚書

シニアおばちゃんの日常雑記 まだまだ元気

高齢者をめぐる消費トラブルや詐欺被害

1,はじめに

叔父が逝き、独り暮らしになった叔母の様子を見に行きました。
悲しみに暮れているのではないかと心配していましたが、元気でホッとしました。
生活のリズムを崩さないように朝は6時半頃に起きて、最近はお風呂は温かい午前中に入るようにしているそうです。
まだ、気力はありそうです。

以前にも書きましたが、叔父が亡くなってから、知らないところから電話や手紙がよく来るようになったそうです。
「知人からの様子伺いの電話もかかってくるので、留守電にしっぱなしというわけにもいかない」と叔母は言います。

水やら通信回線の販売から、叔父の衣類など売ってくださいだの、宗教だのいろいろなバリエーションがあるといいます。


高齢者狙いの悪質な人達がいます。
高齢者の認知や判断機能の低下や、配偶者をなくして気力が落ち、独り暮らしで不安や人恋しさに付け込んでくるのでしょう。

困ったものです。
困ったもので済む問題じゃありませんね。


今回は、高齢者を食い物にしようとする人たちの現状を、データで見てみたいと思います。
こういう現状を知ることで、自分を守れる一助になったらいいと思います。

以下はデータと解説の要約ですので、興味のない方はスルーしてください。
本文はリンクしてありますので、より詳しく知りたい方は、そちらにどうぞ。


2,まとめ

データを見ていて感じたことは、様々な事案で、判断能力の落ちてきた高齢者が被害にあっているという現実の再確認です。
そして、対応の難しさも感じました。
結局は、自己防衛と周囲の見守りが頼りです。
高齢者をターゲットにした、特殊詐欺や悪質商法はパターンがある程度決まっているため、どんな手口があるのかをおさえておくだけでも防衛になります。
しかし、手口はどんどん巧妙化しているので、情報の収集は必要です。
国民生活センターのホームページにはそれらの情報がアップされているので、時々見ておくといいかもしれません。

意外に感じたのは、通信契約やインターネット契約トラブルの増加です。高齢者にもインターネットが普及してきたということでしょう。
電話勧誘や訪問販売等の押し売り的なものでなく、高齢者が自らアクセスし、契約し、トラブルとなるケースが増えてきています。
インターネットを利用した契約はますます進みそうです。
高齢者の意識の向上が望まれるところです。


3,消費トラブル 国民生活センターのデータからみえるもの(2018年)


(1)60歳以上の消費者トラブルの相談件数が43万件と過去10年で最高を示している。
(2)全国の消費生活センターに寄せられる相談のうち、契約当事者が60歳以である相談は増加傾向にあり、相談割合も49%と増加している.


(3)購入形態別相談の傾向

60歳代・70歳代 通信販売>店舗購入>訪問販売>電話勧誘販売
80歳代 訪問販売>店舗購入>通信販売>電話勧誘販売
*1
60歳以下 通信販売>店舗購入>訪問販売>電話勧誘販売
*2

(4)60歳以上の契約当事者のトラブルの特徴

①情報通信関連の相談が非常に多い。
60歳代・70歳代ではインターネットを利用したデジタルコンテンツやインターネット接続回線などの情報通信に関連する相談が多いほか、インター ネット通販に関する相談も多く寄せられる。
②高齢になるにつれ、訪問販売や電話勧誘販売の相談が増加している。
70歳代、80歳代と高齢になるにつれ、訪問販売や電話勧誘販売による強引な勧誘が目立つ。80歳以上になると判断能力が不十分と思われる方の契約に関するトラブルが多い。

www.kokusen.go.jp
(報告書に関しては下部の報告書リンクをクリックしてください)


4,高齢者に対する犯罪白書からみえるもの 詐欺と悪質商法(2019年)

(1)高齢者の犯罪被害の現状
刑法犯罪認知件数のうち、高齢者(65歳以上の者)
が被害者となった件数は、2002年の約22万5000件から2019年は約9万2000件と減少している。
しかし、刑法認知件数に占める高齢者被害件数の割合は増加しており、20019年は12.3%となっている。
特に、詐欺等の知能犯について増加が顕著である。

(2)高齢者を狙った特殊詐欺の現状
被害者に占める高齢者の割合は、83.7%と高い割合である。特に70歳以上の女性に多く、全体の60.3%を占める。
手口別にみると、オレオレ詐欺97.5% キャッシュカード詐欺窃盗94.0%、還付金詐欺は78,7%と高齢者率が極めて高い。
(3)高齢者を狙った悪質商法の現状
①利殖勧誘事犯にかかる相談のうち、高齢者からの相談件数は全体の約4分の1を占める。
②特定商取引等事犯(特定商取引に関する法律違反及び関連する詐欺。訪問販売や電話勧誘、連鎖販売や訪問購入等がある)のうち
警察に寄せられた特定商取引等事案に関する相談のうち高齢者からの相談件数は全体の約半数を占める。

www.npa.go.jp

*1: 70歳台以降通信販売の相談の割合がへりはじめ、訪問 販売と電話勧誘販売の相談の割合が増えてくる

*2:信販売及び店舗購入、マルチ取引の 割合が高い